ロシアW杯が終わりました。我らが日本代表は下馬評を覆し、堂々の16強。得るものも大きかった大会だったのではないかと思います。
 
そろそろ次の代表監督が決まりますが、その前にロシアW杯における日本代表について総括しておきたいと思います。
 

同じ16強でも内容は向上している

今回も残念ながら日本は16強の壁を破ることはできませんでした。しかし開幕2か月前の監督交代劇から、トレーニングマッチ3試合で、16強入りしたのは凄いことです。予選リーグを突破できたのは、2002、2010、そして今回と3回目でしたが、今回は過去の大会よりも内容に向上がみられ、未来に繋がる戦いができたと思います。
 
2002年は中堅国のトルコに対してホームアドバンテージを活かせずあっけなく敗戦。
2010年は中堅国のパラグアイに対して徹底したカウンター狙いでスコアレスドローに持ち込みPK戦の末に惜敗。
2018は強豪国ベルギーに対して後半の途中まで2-0と土俵際まで追い詰めるも、後半ロスタイムで逆転負け。
 
僕はなでしこJAPANの試合を観ると、彼女達の必死さに感動してしまうんです。それに比べると、男子の方は淡白に見えました。それが今回はどの選手も必死さが伝わってきました。それが今回は大会を通して見えた。原口が顔面ブロックのように、体を張って立ち向かってる姿とか痺れました。
 

感じた代表選手達の責任と覚悟

今回の代表は日本サッカーの未来に対して強い危機感を持っていました。それは大会前長谷部が語っていました。 https://sirabee.com/2018/07/05/20161698368/
 
また大会中にも吉田がツイッターでミスした者を叩きのめす悪しき風習が日本にはあると言い、子ども達にこの代表のどんな所を見て欲しいのかを発信していました。
 
また今大会は、コロンビアが開始直後に一人退場になる。ポーランド戦のパス回し。ベルギーに2点先行した後の戦いかた。ベルギー戦のワンプレー、どうすればよかったのか。色んなシチュエーションがありました。そういったこと今の子ども達にフィードバックしていこうとする姿勢が選手には見えました。
 
子ども達に見て欲しいという姿勢が、今回は色んな選手から強く感じられました。SNSを選手がやってくれることにより、選手がメディアを通さず意見を言ったりできるのが良いですよね。吉田のツイートは素晴らしかったです。
 

日本らしいサッカーってどんなサッカー?

日本は「日本らしいサッカー」をずっと模索してきました。トルシエの時は組織力で、ジーコの時は個人技で、岡田の時はカウンターで守り切り、ザックの時はショートパス主体で、ハリルの時は相手にボールを持たせカウンターを狙う。
 
その時々の監督でやるサッカーが随分色を変えてきた。特に2014年に俺たちのサッカー(ボールを保持しショートパスを繋いで崩すサッカー)で惨敗し、ハリルのカウンターサッカーに切り替え、「日本に合わない」と、直前で西野に交代したくだりなんかはスタイルを模索中というのがとてもよく見える流れだったのではないかと思います。
 
そんな中、今大会は「日本らしいサッカーとは?」の答えにかなり迫ったんじゃないかと思っています。
 
大会中、本田が「チョキを出されるとわかっていてパーを出すことはない」と言っていました。僕はこれはかなり本質をついているのではないかと思ったんです。
 
西野監督の発言から「ボールを保持しながらゲームの主導権を握る」こと、「数的優位を作り出し組織力で対抗すること」、これらはやはり日本にあったスタイルなんじゃないかと思いました。
 
でも、そのスタイルに拘ることなく、時にはカウンターも狙うし、相手の弱点を突いていく。数的優位は作りだすが、デュエルでも負けない。その時々の状況によって臨機応変に対応していくことというのが、着地点だったのではないでしょうか。だってサッカーは相手のあるものだから。
 
西野監督も選手達には試合の中ではベンチの指示を待つのではなく、自分達で柔軟に対応していくことが必要だと説いていたと、長谷部が以前コメントしていました。今回の代表は「おっさんジャパン」と揶揄されたり、平均年齢が28.6歳と高めのチームでした。しかし経験値の高い選手達だったからこそ、試合中にすぐに話し合い、柔軟に対応できたのではないかと思います。
 
俳優の星野源さんが、「極端な表現には本質はない」というようなことを言っていて心に残っています。これって、「日本らしいサッカーとは?」という問いにおいても当てはまるんじゃないかな。本質っていうのは白黒つかないところにあるんじゃないかなと思うのです。
 
僕は以前日本の目指すべきサッカーとしてこんなことを書きました。それはそれで日本らしいし面白い。でもそれって16強止まりの脇役のサッカーなんじゃないかなと今は思います。ベスト8に残るチームというのは、主役達なんです。主役って極端にキャラ立ちしないじゃないですか?サッカーに置き換えれば極端な戦術を取るというよりは、バランス良くゲームをコントロールし、勝ちきれるチームだと思います。

サムライブルーの精神とは

さて、日本らしいサッカーとは上述した通り「組織力>個人技」「ポゼッション>カウンター」ということで落ち着いてきたかと思います。それではスピリットの部分はどうでしょうか。ブラジルならマリーシア、ドイツなら不屈のゲルマン魂とかあるじゃないですか。
 
日本代表をサムライブルーとよぶことになったのは、2006年。今回の日本の活躍で、海外でも「日本=サムライブルー」というのが徐々に広まってきたのかなと感じました。そしてそれは選手だけでなく、試合後のロッカールームを綺麗に清掃したチームの裏方試合後スタジアムを清掃するサポーターも、サムライブルーの印象付けに多大に貢献したなと。
 
サムライブルーの精神というのは、団結力とスポーツマンシップにあるんじゃないかと思います。
 
 日本人って非常事態の時の団結力は凄いと思うんです。災害後の復旧作業の速さや、非常事態でもメトロの乗車でしっかり列で並んだりとか。海外の人は驚きますよね。大会2ヵ月前の監督解任劇はまさに非常事態であり、団結力を強化したのかもしれません。
 またこの団結力の中には「自己犠牲」という重要ワードが内包されています。これは、例え控えという立場になってもチームの為にベストを尽くすということです。酒井高徳がW杯のメンバーに選ばれた際、「代表というのは出場できなくてもチームの為にベストを尽くす。そういう場所。」というようなことを言っていました。
 これって、2002年の中山や秋田、2010年の中村や川口の行動が、根付いてきたんじゃないかなと思うのです。彼らの素晴らしい行動が、未来の代表に脈々と受け継がれている。今回でいえば槙野なんて、大会直前で昌子にスタメンを譲る形になって本当に悔しかったはずです。それでもチームを盛り立てた。今回の槙野の振る舞いもまた、サムライブルーの精神となって、未来の代表選手達に引き継いでいかれるのだと思います。
 
 そしてスポーツマンシップ。ネイマールのようにファウルをアピールしたりするのは似合わないですよ。日本が今大会で世界から評価された点は、そういう点でもあると思うのです。
 
これはベルギー戦後の記事。ベルギーの監督が号泣する乾を励ましています。
 
 こちらはベルギー戦後の振る舞いについての記事。スポーツマンシップがあるからこそ、人の心を揺さぶるような試合を見せられるわけです。http://news.livedoor.com/article/detail/14968093/
 
 スポーツマンシップを語る上で出てくるのが、ポーランド戦のパス回し。スポーツマンシップに欠けると叩かれもしましたが、そういうレギュレーションなんだから何も悪くない。むしろ西野監督の肝の据わり方に凄みを感じた程です。マリーシアについても必要だと思っています。ベルギー戦のラストワンプレーは、カウンターをプロフェッショナルファウルで止めるべきだったと思っています。
 

次の代表監督について

 もうじき日本代表監督が決まります。クリンスマンという報道が出た時は不安しかありませんでしたが、日本人監督であることを祈っています。Jリーグが始まって25年。日本にも歴史が出てきました。オフトのアイコンタクト&スリーラインから始まり、ドーハ、アトランタ、フランス…、ロシアと。近年の日本サッカーのことを全部知っている人が良いと思います。今回の大会でも大会前の準備期間、戦術をまとめていく時に選手同士で様々な意見が出て、長谷部が西野監督に「最終的には監督が決めて下さい」と言った。これって、ドイツW杯での代表の失敗経験が活きたんです。選手も監督もその時の失敗談を体験したり、知ってたりするから、意見を出し合いながらもロスなくスッとまとまっていけたんだと思います。
 結局アウェーのW杯で16強に入れたのは、岡田さんと西野さん、日本人監督の時だけです。必ずしも外国人監督がいいってわけじゃないと思う。世界的な名将であるぺケルマンでさえ、日本戦は打つ手が裏目裏目にでたりするわけで。
 代表監督はクラブと違って、活動期間が限定的です。その分日本サッカーに精通していて、選手達をまとめられるような人が良いかと。森保か手倉森になって欲しいなぁ。
 

まとめ

 ドイツワールドカップの時はシドニー世代がピークを迎えて期待されていたが、惨敗した。何故あれだけの選手達がW杯という大事な時にまとまれなかったんだろうと思ってきましたが、結局は国として経験が足りなかったんだと思います。逆にあの時の失敗が、今になってちゃんと活かされているなと思えます。大事な時にまとまれなかったり、チームの花形だった選手が大会直前で落選したり、控えになったり。
 たとえ結果が出なかったW杯でも、その時の失敗経験が未来になって活きていると僕は感じています。今後のサムライブルーも右肩あがりというわけにはいかないでしょうが、一つ一つ、歴史を積み上げ、ベスト16の壁を破る日を楽しみにしたいと思います。




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