【はらだみずき著】「サッカーボーイズ~再会のグラウンド~」の感想




自己啓発系の本ばかり読んでいたので、久々に小説を読みました。息子がサッカーを始めたので、これを選びました。とても良かったので記事にして紹介したいと思います。
 

エンジョイフットボール

 
この話は、桜ケ丘FCという小学生チームの成長物語です。話の核は「サッカーを楽しむ」ということ、アンチテーゼは勝利至上主義となります。日本のスポーツは部活動が土台にあるので、「スポーツを楽しむ」ということが忘れられがちになってしまいますよね。日大アメフト部の事件も、日本なら全然起こりうるなと思ってしまいます。それぐらい部活を土台とした日本のスポーツは歪んでると思う。
 
この話の中でのサッカーを楽しむ人というのは木暮コーチ、一方勝利至上主義は峰岸監督という描かれ方をしています。試合中遼介が峰岸から怒鳴られ続けて、委縮してプレーしていた時の気持ち、僕はよくわかる。
 
僕自身も中学でサッカーを始めましたが、コーチにあたる大人が常時不在だったので、上手い子が増長し放題。初心者の僕は罵詈雑言を雨あられのように浴びせられ、委縮してサッカーしていました。
 
作者である、はらだみずきさんという方は表現が凄く上手だなぁと思うところがいくつかあって、例えばクライマックスのキッカーズ戦の中での描写。遼介がドリブルで相手DFに突っかて取られてしまうシーン。そこで「遼介!!」とベンチから声が出るのですが、その後に「ナイスチャレンジ!それでいいんだ。そのプレーを繰り返すんだ!」という木暮コーチの台詞が入るんです。これは峰岸の下で怒鳴られながらプレーしていたシーンが前振りとしてしっかりあるからこそ、この木暮の台詞が立つんですよね。
 
その他でも峰岸は試合中に「運べ!」「繋げ!」「丁寧に!」とかベンチからまぁうるさいうるさいww その結果選手は監督の顔色を窺ったプレーしかできなくなる。それと対照的に、キッカーズ戦1点ビハインドで迎えた試合終了間際にCKを取った際、遼介がベンチを見ると、木暮コーチは「自分で考えるんだ」というような仕草をする。そうだよね。サッカーって自分で判断してやるから面白いんだよね。
 
また峰岸時代は試合前の円陣で「ぜったい勝つぞ!おーっ!」って言っていたのですが、峰岸がチームを去ってからは掛け声が変わる。劇中、なんて言っているかはずっと読者にはわからない。卒業の時の円陣で「エンジョーイ!」「フットボール!!」と言っていたことがわかるという。
 

まとめ

キッカーズとの試合はドキドキしながらどんどん読めます。ファウルで倒された巧が「負けられねぇよ」というところとか、アツいです。上手くて仲間に批判ばかりする星川も、ベンチに退いた後も仲間達を鼓舞します。1点ビハインドの桜ケ丘FCが諦めないで声を掛け合いながら、一丸となってキッカーズに向かっていく姿は、サッカーの、チームスポーツの面白さが詰まっていました。
 
(唯一残念だったところは、遼介と琢磨の関係性がもう少し描かれていれば。。ってところかな。二人の関係がそこまで濃くないのに、まるで十年来の親友に再会して号泣みたいになっていて、ちょっと伝わってこなかったかな。。)
 
この小説には、少年サッカーを通してどのように子ども達が成長していくか。スポーツにとって何が大切なのか。どういう姿勢が尊いのか、なんてことが描かれています。教科書ではなく、物語を通して感じることができるので、とっても良いです。サッカー好きならグイグイ引き込まれていくと思います。読んだことのない方は是非是非。
 
息子がいつか本を読めるようになったら、すすめてみたい本ですね。
 




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